兵庫県立芸術文化センター開館10周年記念 |
平成27年7月22日(水) 阪神・淡路大震災の復興、芸術文化のシンボルとしてオープンした芸術文化センターがめでたく10周年を迎えられたこと、心からお喜び申し上げます。 芸術文化センター開館のオープニングに引き続き、10周年の節目を皆様とお祝いできることをとても嬉しく思います。 オープニングでは「第九」のほかに、「イッツ・ア・スモールワールド」をお聞きしましたが、今や芸術文化センターからは国内に止まらず世界へそのパフォーマンスが広く発信されています。佐渡芸術監督をはじめとして地元兵庫の皆様のセンターへの熱い想いによるもの、と敬意を表します。 今回の伺う事ができた「椿姫」は人気のある演目で上演回数が多く、新しい形で見せることはとても難しいのではないかと思います。舞台セットとして映像を使われましたが、その時代や場所の雰囲気を白黒や、CGを使いながら実にお洒落なセット展開となっておりました。そして、ヴィオレッタの内面、というのでしょうか、心の動きを表すために表情をアップにするため、鏡として使うなど、いろいろ巧みな趣向を凝らされていたことが斬新で、私たちにオペラというものを舞台だけではなく、時には映画のように見せてくれたところに感心しました。また、最後のシーンはいろいろな演出の仕方がありますが、今回の演出は、はっとさせるところがあって私はとても好きです。 芸術文化センターの開館時に、器が造られることが第一歩であって、その器が生きた一つの劇場になるためには、その中でどのような演目が演じられてどのような音楽が聞かれ、そして地元の人たちが心を注ぎ育てていくものだということを話したことを覚えていますが、本当にこの10年間ですばらしい劇場に育ったと思います。 また、KOBELCO大ホール、阪急中ホール、神戸女学院小ホールと、地元の方々にとても愛していただいていることが伝わってきますし、一つ一つのホールがとても強い個性を持っています。ほかでもホールや劇場に伺う機会は多く、いろいろ見学させていただきますが、それらと比較しても、非常に面白いと思います。 今後とも芸術文化センターが愛されて情熱を持って育てられていくこと、そしてここから発信されるものが世界に広がっていくことを祈念して、お礼とお祝いのことばとさせていただきます。本日は誠におめでとうございます。 【芸術文化センターにご到着された高円宮妃殿下】
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佐渡裕&スーパーキッズ・オーケストラ東京公演 |
平成27年8月13日(木) (浜離宮朝日ホール) 日本の若い人たちの演奏能力は、技術的に非常に高い水準で世界に誇れるレベルですが、一人一人が持っている技術がオケという形で結集した時に、どのように表現しコミュニケーションしていくのかが、芸術性の部分になってきます。日本では、西洋から入ってきた楽器をみんなで駆使しながら、西洋音楽に日本人、あるいは自分たちの持っている何かを味付けに加えて、それが集結してそれぞれのオケが持っているカラーがあるわけです。皆さんのオケはとても元気で明るい音色が特徴かもしれません。 皆さんは本当に輝いていました。技術的に優れていてもちょっと聞いて疲れてしまうオケもありますが、今日はとても楽しませていただきました。 特に3.11の被災地であった東北を訪問して、そこでただ真剣で難しい顔をして演奏するのではなく、自分たちも楽しくて笑顔があるからこそ、そこにいる人たちに希望を与え、気持ちを通わせることができるのだと思います。 佐渡さんが先ほど言われた「他の人につながるために楽器を弾くこと」は音楽の本質です。もちろん音楽は一人一人のためにもありますし、特にオケの形になった時には一人では出せない相乗効果があります。そして、その時一回だけしか聞くことのできない演奏となるのですが、人数が多い分、オケだと多種多様な要素が加わります。 その場の人たちと共有する時間、空間というものがとても大切です。今日、皆さんとシェアできたこの空間、時間を私も大切にしていきたいと思います。 皆さんはどんどん編成が変わって行くわけですから、一回一回のコンサートを大切にしながら沢山の思い出を重ねて多くの場数を踏んで、すばらしい演奏家になってください。オケというものは社会の根底にあるものと同じで、それぞれの役割を持ったみんなが一緒に働くことで音楽が完成していくように、それぞれの貢献で社会はなりたっています。演奏家の道に進まれない方にも大切な経験。是非大切にしながら各々の道に進んでください。 SKO(スーパーキッズ・オーケストラ)でないかもしれませんが、またどこかで会えることを楽しみにしています。今日は本当に輝いていました。すばらしかったです。 【高円宮妃殿下とスーパーキッズ・オーケストラ】
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