2017/12/512/26(火)・27(水)『管理人』演出家・出演者からのコメントと舞台写真が届きました!
ピンター作品に初めて挑む気鋭の演出家 森新太郎さん、ガラクタを処分したい男ミック役の溝端淳平さん、ガラクタを拾い集める男アストン役の忍成修吾さん、ガラクタ同様に拾われてきた男デーヴィス役の温水洋一さんの、東京公演初日を迎えた心境や作品・ご自身の役の魅力について語ったコメントと、舞台写真が届きました。
■コメント(クリックでご覧いただけます)
初日を迎えて、改めてピンターは人間の愛というものを描きたかった作家なのではという気がしています。稽古中、字面だけではわからなかった役の関係性が俳優を通して立ち上がってきて、それがあまりに切なくて、こんなに哀しいのかと感じました。1960年ロンドン初演の作品ですが、さすがにピンターだけあって普遍的な人間の痛みを描いていて、いつの時代にやっても突き刺さる人には突き刺さる作品。のめり込んでしまう人は兄弟やデーヴィスの過去、この先のことなど、どんどん気になって引き込まれて、抜け出せなくなるのでは。
出演者3人は完璧な顔合わせです。温水さんは飄々としながらもまわりに意識をビシッと張り巡らせ、忍成くんは圧倒的な集中力で彼の世界をつくり、溝端くんは華があり、そこからとてつもなく深い闇を垣間見せてくれて、僕が想像した以上にそれぞれ見事に役を膨らませてくれました。
僕は気分が塞がっている時にこの作品を読んだら面白く感じたのですが、同じくちょっと気分が塞がっていたり、人生に行き詰っているかもと思う人に観てもらえたら「人間ってこうなのかもな」と、救われた気持ちになるかもしれません。人生にどん詰まっている方にこそ、ぜひぜひ観ていただきたい舞台です。
抱えてきたものをお客さんに観てもらえる初日はワクワクして楽しかったです。ピンター作品は一筋縄ではいかないとは覚悟していましたが、森さんの飽くなき探究心や何かを掘り出そうという執着心に魅せられて、稽古を積み重ねてきて、培ってきたものを出すことができました。答えを提示するのではなく、お客さんの想像力をかき立てる、如何様にでも解釈できるところがこの作品の魅力で、僕も演じていて毎日発見があります。ミックは「異物」だと思っているのですが、異物として舞台に出る感覚、支配している感覚というのは、演じていてとても楽しいものだと思いました。
僕が演じるアストンだけでなく、ミックもデーヴィスも、この戯曲自体が本当に面白くて、全部繋がっているように思うんです。でも「これってもしかして……」という発見を、あえてみんなで共有しないで、それぞれがこっそり持っている。森さんの策略なんだと思います。森さんはギリギリの高さの階段を一段ずつ用意してくれて、ようやく登れたと思っても更に上に階段がある。考え方によっては苦しいですけど、食らいついていけばだんだんハイになって楽しくなってきます。そして今いる所から最初の自分を見下ろすと、凄く高くまで登っていることに気付くんです。これからも森さんの演出を信じていきたいと思います。
2年ぶりの舞台なのですが、これは相当手強いぞ、と。初日が終わった今の気持ちは、これまでの作品で感じたことのある初日の解放感とかではなくて、ふわふわしているというか、こんな感覚になったのは初めてかもしれないです。お客さんがひとつの部屋を覗き見しているようなお芝居で、デーヴィスは出番もセリフも多いのですが、でも大変さは三人とも同じ。森さんとも話して、「無様」が似合う奴を演じようと最初から決めていましたが、もっともっと無様でも良い。そんな無様で憎たらしいデーヴィスを演じることも楽しみたいですね。
■舞台写真(撮影:細野晋司)
管理人
2017年12月26日(火) 6:30PM・27日(水)11:00AM/4:00PM
兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
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兵庫県立芸術文化センター