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2023/6/24オペラ演出家 栗山昌良氏のご逝去にあたって

オペラ演出家の栗山昌良氏が去る6月23日に逝去されました。

兵庫県立芸術文化センターでは、開館間もない2006(平成18)年7月に、オペラ「蝶々夫人」を同氏の演出で上演しました。この事業は、当初6公演で計画していたものが、チケット発売と同時に大きな注目を集め、追加公演を含めて計8公演を行うこととなり、センターにおけるその後のオペラ公演の礎になりました。さらに2008年3~4月には改めて氏をお招きして同作品を再演し(7公演)、高い評価をいただきました。

2005(平成17)年10月の開館にあたっては、2002(平成14)年4月に芸術監督に就任していた佐渡裕氏の下で、専属のオーケストラを併設することに加えて、本格的なオペラ上演を行っていくことが計画されていました。

佐渡芸術監督は、当センターにおけるオペラ上演の礎とするため、最初のオペラ2作品の演出を、戦後日本のオペラ界を牽引し、自身のオペラ体験の中でも薫陶を受けてきたお二人の演出家である鈴木敬介氏(1934~2011)と栗山氏(1926~)にお願いしたい、という強い思いで、2005年12月の「ヘンゼルとグレーテル」を鈴木氏、2006年7月の「蝶々夫人」を栗山氏に依頼しました。

2006年当時、氏はすでに80歳を迎えていらっしゃいましたが、東京と兵庫を往復する長期の稽古期間中も精力的に現場を主導され、厳しくも凛とした雰囲気を稽古場にもたらしつつも、出演者・スタッフの隅々にまで目をかけて下さったことを関係者一同、改めて思い返します。

限られた日数ではありましたが、氏がその存在と作品を通じて、当センターのお客様と私たちにもたらしてくださった大きな芸術的所産に、改めて深い感謝の意を捧げるとともに、氏のご逝去に際し、謹んでご冥福をお祈り申し上げます。



蝶々夫人
2006年7月15日「蝶々夫人」初日カーテンコールより


兵庫県立芸術文化センター