日米開戦前に首相直属機関として実際に存在した官庁・軍・民間から選抜された若手エリートが参加する「総力戦研究所」。そこで「日本は必ず戦争に負ける」と予想した彼らが、終戦から5年、久々につどい語り合う。彼らが振り返る「対米戦開戦」という最悪の選択、日本の「帰還不能点」とは――
第29回読売演劇大賞 優秀作品賞、優秀演出家賞を受賞した話題作を
兵庫県立芸術文化センターで初上演!
第29回読売演劇大賞中間選考会〈作品賞〉選考委員評より
「打算と妥協を繰り返したあげく最悪のシナリオを選ばざるを得なかった愚行を暴き出した」
「『自分たちは何もできなかった』という悔いが、現代の我々にも投げかけられている」
(読売新聞 2021年7月5日掲載)
何故あの時この国は引き返せなかったのか?
対米戦の必敗を予測した男達の語る大日本帝国破滅への道。

敗戦から5年後、とある故人を偲び一軒の小料理屋で再会した男たち――
彼らは、開戦前の昭和16年に「総力戦研究所」という首相直属機関に所属したかつての若手エリートたちだった。
久しぶりの思い出話から、酔いも手伝って、かつて研究所で自分たちの使命であったロールプレイ(模擬内閣)に興じ出す。後戻りが出来なくなっていく国家を改めて再現していく中で、当時の分析の正確さと、それでも開戦へと突き進む二人の政治家―当時の首相近衛文麿、そして外相松岡洋右―の蛮勇が次々に炙りだされていく…
日中戦争の長期化、日独伊三国同盟の締結、南部仏印進駐。
対米戦の「帰還不能点」となった出来事、文官たちに焦点をあて、戦後80年を超え現代の私たちの心を強く揺さぶる舞台として上演します。
脚本家・演出家コメント(2022年上演時パンフレット「ご挨拶」より抜粋)
脚本 古川 健(劇作家/劇団チョコレートケーキ)
この物語は歴史上の事実を参考にしたフィクションです。実在の人物・組織等についても語られますが、あくまでも創造の産物です。その点だけ、お含みおきいただけますと幸いです。
(中略)劇中劇。劇の中で演じられるお芝居。これは舞台ならではの面白さであり、演劇の持つ大きな魅力だと思います。あまりそういうものを書く機会に恵まれておりませんが、この物語ではその劇中劇がふんだんに盛り込まれております。普段とは少し違うアプローチで書いてみようと軽い気持ちで構想したのですが、改めて劇中劇というものの面白さを再認識できました。劇中劇の魅力、演劇ならではの面白さをお客様と共有出来たのなら、これに勝る喜びはありません。
演出 日澤雄介(劇団チョコレートケーキ主宰)
この『帰還不能点』という作品は2021年2月に初演を行いました。(中略)色々とチャレンジの多い作品でした。劇中劇という手法を用いて今までとは違う作風に取り組んだり、様々な出自の俳優さんにご出演頂いたり、(中略)…。そのため稽古場ではいつも以上に色々な事を試しながら作品を作っていきました。
総力戦研究所の若きエリートの出した結論と、それをどう捉えていくか。「仕方なかった」で諦めて良いのか、色々な場面で顔を出す「仕方なかった」という思考。これに正面から向き合います。
(中略)この国はどのような歩みを経て今の形になったのかを多角的に見ることで、もう一度この国を見つめ直すきっかけになれればと思います。そして、これから踏み出す一歩目の助けになれれば嬉しいです。
【主な登場人物】
岡田一郎(岡本 篤)
総力戦研究所の模擬内閣では内閣書記官長役を担った。
研究所で日銀総裁役だった山崎の訃報を知り、この会合を呼び掛けた発起人。
山崎道子(黒沢あすか)
会合の会場となる一杯飲み屋の女将。
亡くなった山崎とは戦後結婚したが、その後未亡人となる。
久米拓二(今里 真)
総力戦研究所では総理大臣役を担った。
劇中で実際の内閣を再現する場面では、主に近衛文麿となり、近衛の失策を体現していく。
(写真はすべて過去上演時舞台写真 撮影:池村隆司)
脚本:古川健
演出:日澤雄介
出演:
岡本 篤、浅井伸治
青木柳葉魚、東谷英人、粟野史浩、伊藤白馬
今里 真、小川哲也、加藤広祐
黒沢あすか

PDFデータ(1.44MB)
劇団チョコレートケーキ「帰還不能点」 好評発売中!
日程:2026年6月27日(土)14:00、6月28日(日)14:00 開演
会場:兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
公演情報・チケットは
こちら