コレクション紹介《バレエ・リュス》

「スルタン」の衣裳(バクスト画/プログラム/1910年)

《バレエ・リュス》

「バレエ・リュス」とはフランス語でロシア・バレエの意味ですが、ここでは特にセルジュ・ディアギレフのバレエ・リュスのことを言います。このバレエ団は1909年から1929年の20年間、ベル・エポックのパリで花開き、第一次世界大戦を挟んで世界恐慌直前までという激動の時代の先端を走り続けた、劇場を持たないツアリング・カンパニーです。名前には<ロシア>とありますが、カンパニーとしてロシアで公演したことはなく、パリ、ロンドン、モナコを中心とした西欧諸国と米国で活躍を続けました。
踊り手にはマリインスキー劇場付属帝室ロシア舞踊学校で学んだ天才ワツラフ・ニジンスキー、タマーラ・カルサヴィナら、振付家にはロシア・バレエの現代に繋がる大きな変革をもたらしたミハイル・フォーキン、後にはレオニード・マシーン、ブロニスラワ・ニジンスカ、ジョルジュ・バランシン、音楽家にはストラヴィンスキー、「6人組」など綺羅星のような顔ぶれが並んでいます。上演作品としては、オリエンタルな魅力あふれる「シェエラザード」、男性群舞の迫力が魅力の「ポロヴェッツ人の踊り」、ニジンスキーによる衝撃作「牧神の午後」「春の祭典」、シャネル衣裳という最先端のおしゃれを盛り込んだ「青列車」、ローランサンの衣装・美術による「牝鹿」などを上演。1921年にはロシア帝室バレエへの積年の思いを込めて「眠れる森の美女」を上演しました。しかし、1929年8月19日ヴェネツィアでディアギレフが死去した後誰ひとりこの奇跡のようなカンパニーを再結成することはできませんでした。

薄井 憲二 バレエ・コレクション 一覧

  • ロマンティック・バレエ
  • ロシアのバレエ
  • バレエ・リュス
  • バレエ・リュス・ド・モンテカルロ