薄井憲二バレエ・コレクションの総数は約6,500点にのぼり、個人が収集したものとしては世界でも有数の規模を誇っています。1930年代から収集されたこのコレクションは、バレエの始まりから現代までを広くカバーするバレエ史上きわめて貴重なコレクションといえます。
コレクションは大きく4つのテーマを柱としています。バレエの黄金期である《ロマンティック・バレエ》、《ロシアのバレエ》、現代バレエの礎ともいえる《バレエ・リュス》とそれに続く《バレエ・リュス・ド・モンテカルロ》の時代です。
コレクションの中には、ダンサーたちの自筆の手紙やメモといったまさに世界で唯一のものから、当時の劇場の息づかいを伝える豪華、時にシンプルな装丁で、資料性の非常に高い公演当日の公式プログラム、美術的価値も高く目にも鮮やかなリトグラフや絵画、ポスターなどが数多く含まれ、書籍、雑誌といった文献資料は2000冊を超えています。
兵庫県立芸術文化センターでは常設展と企画展という形で年間を通じてコレクションをご覧いただける機会を設けています。
東京都出身(1924〜2017)。バレエダンサー・振付家・舞踊評論家・舞踊史研究家・日本バレエ協会前会長・ロシア国立ボリショイ・バレエ・アカデミー名誉教授。学生時代に蘆原英了氏に見出され、18歳で東勇作氏に師事しバレエ・ダンサーとしての初舞台を踏む。東京大学経済学部在学中に軍隊に入隊しハルピンへ。終戦後4年間のシベリア抑留を経て帰国し、ただちに東勇作バレエ団に復帰。その後ヴィタリー・オシンズ、アレクセイ・ヴァルラーモフにも師事して本格的にバレエに取り組む。以後古典、創作バレエなどの分野で活躍、テレビにも度々出演。1957年には自らバレエ団を組織しダンサーとして公演、松山バレエ団とともに中国公演も行っている。
また世界三大バレエコンクール(モスクワ、ヴァルナ、ジャクソン)などの多くの国際バレエコンクールの審査員を歴任、同時に舞踊史研究家としても有名で著書・訳書も数多い。1987年橘秋子賞、1994年兵庫県文化功労賞、1995年蘆原英了賞、2003年兵庫県文化賞、2016年踊りの魂賞(ロシア)など受賞。